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鉄道車両を「運ぶ」

鉄道車両も一種の工業製品ですので、もちろん工場で製造されます。今日は、製造された車両がどうやって発注した鉄道事業者に届けられるのかをお話します。
鉄道車両を製造するメーカーの工場にはたいていの場合線路が引き込まれていて、工場から直接JRの線路に送り込むことが可能です。ただし、製造された車両は自力ではなく、車両という名の貨物として、機関車にけん引されて目的地まで運ばれます。このように新車を輸送する列車のことを「甲種回送(こうしゅかいそう)」といいます。このとき、JRとは線路の幅が違う私鉄の車両や新幹線車両の場合は、輸送用の台車を取り付けて運ばれます。そして、車両を納入する鉄道会社の線路がJRとつながっている場合は直接車両を送り込みますが、そうでない場合は、車両をトレーラーで運んで送り込みます。また、新幹線の車両など、車体が大きくて在来線で運べない場合も、トレーラーで運び込みます。トレーラーでの輸送は交通量の少ない深夜に行われることが多いので、私たちの目に触れる機会は少ないと思いますが、もし、トレーラーで運ばれる列車を見たという方がいたら、その人をうそつきだと思わずに信じてやってください。(^^)
また、製造された車両を運ぶ距離が長い場合は、船で運ぶこともあります。特に九州新幹線の800系は台船に載せられて運ばれ、白昼の関門海峡を通過したことがあります。
全ての車両メーカーがこのようになっているわけではなく、例外もあります。新潟県の新潟トランシスでは、線路が引き込まれていないため、近くの貨物用の側線までトレーラーで運びます。また、横浜市にある東急車輛製造では、JRだけでなく京急線とも線路がつながっているため、京急、京成電鉄の車両は直接送り込むことが可能で、特に京成の車両は工場から自力で回送するそうです。